プロフィール帳を自作した時の話

あらすじ

オフ会で使えるプロフィール帳が
欲しかったので自作した時のおはなし

前置き

みなさんはプロフィール帳というものを
ご存知でしょうか

小学校の頃
クラスの女子達が周りに配って
キャイキャイしていたアレです

クラスの人気者にはたくさん配られるけれど陰の者(俺)には滅多に支給されないレアアイテム

世代や地域によっては流行らなかったらしいので
簡単に概要を説明すると

  • 実体は50枚ほどの「プロフィール用紙」が
    格納された小型のバインダー
  • プロフィール用紙には名前や年齢などの
    基本情報から始まり
    「好きな食べ物」
    「お気に入りのアーティスト」
    など趣味嗜好を書き込む欄がある
  • 持ち主は友達やクラスメイトに
    プロフィール用紙を配り記入してもらった後
    回収しバインダーに格納する

そんな事して何が楽しいんじゃ
と思う方も居るかもしれませんが
「交友関係を可視化出来る」という点に
当時の子どもたちは
喜んでいるように思えました

個人情報が知りたいというよりも
『あの子に書いてくれと言われたのが嬉しい』とか
『あの人に書いてもらえた!』とか
そういった要素に
惹かれていたのでないでしょうか

持ち主側の一方的な個人情報収集に
付き合わされている、というわけでもなく
書いてる側もそれなりに
楽しんでいたように思えます

前述の通り質問内容の大半は

  • 好きな食べ物
  • 気になってる芸能人
  • 今欲しいもの

といった自分が関心のあるものについて
訪ねてくる内容が多いので
謂わば合法的に自分語りが出来る空間が
プロフィール用紙内に展開されているわけです。
子供にとって楽しくないわけがないですね

ぼく自身稀に「書いてくれ」とプロフィール用紙を
受け取った時は一切の憂いなく好きなものについて
書き殴りまくった記憶があります

好きな人に「サーナイト」とか書いたけど
持ち主は一切触れてこなかった記憶もあります

そんな限界クソ痛オタクの片鱗を
噴出させてしまったプロフィール帳、
当時は自分の中でそこまで大きな存在では
無かったのですが……

20代になってから用紙を配布する側へ

時は流れ、
大学生になったぼくはゲームの大会だとか
同人即売会といったイベントに
行く機会が増えました
(オタク)

その際に
「ネットで知り合った友人と会合する」
という機会が稀に発生していました
世間一般で言うオフ会ですね

「せっかく滅多に会えない人に
実際に会えるんだから
何かの形で残したいなぁ」と考え
思い当たったのが
遠い記憶にあるプロフィール帳でした

かわいらしいデザインや装丁のものが多いので持ってるだけで楽しい

という事で出会い頭
プロフィール帳を突きつけてくる

20代男性が爆誕しました
今まで書いてもらった用紙は
自分にとって宝なので大事に保管しています

「書いてもらった当時は
仲良かったけど今はTwitterで
ブロックされている」みたいな人に
書いてもらった用紙は
もう二度と書いてもらえないだろうし
RPGで時期を逃すと
回収できなくなるアイテム的なレアリティがありますね

既製品での限界を感じ始める

しかし市販のプロフィール帳には
どうしても内容に限界があります
メインターゲット層を考えたら
当然の仕様ですが質問内容の傾向が
どうしても女児向けなのです

想定されている回答としては
「さんすう」とか「りか」が入るであろう
『ニガテな科目は?』の欄に
でっかく「卒論」とか書いてある
用紙を見るとしんどい気持ちにさせて
ごめん
という気持ちになります

それならもういっそのこと
「自分で訊きたい内容に特化した
プロフィール帳を作ってしまえばいいのでは?」と
思い作成するに至ったのが2017年春

ちょうど博麗神社例大祭
(東方Projectのオンリーイベント)
申し込み時期だったので
プロフィール帳の普及活動も兼ねて
「東方Project専用のプロフィール帳を作ろう!」
と発起しました

自作する際に考えていたこと

当時のサークルカット

作成するに辺り市販のプロフィール帳を
参考に要点を出しました

  1. 完成品はA5サイズのバインダーにする
    市販品の大きさは
    工業規格(A4とかB5とか)に
    適さないものが多いが
    最も近い形状のA5を選択
  2. 印刷所の「直にバインダーに印刷出来るサービス」等は使用しない
    コスト削減を兼ねつつ、
    綴じ具やカシメなども
    自分で選びたかったため
  3. 古明地姉妹(地霊殿)をテーマにする
    古明地姉妹がテーマであれば
    メインカラーである緑と紫が
    パステルに寄せやすく
    可愛らしいイメージを作りやすい&
    地霊殿の動物妖怪達を
    ワンポイントとして採用しやすくなる

上記の要件であれば
カルトナージュ
(厚紙に紙や布を貼って修飾する工芸)で
作成するのが現実的かなと思い
簡単な設計図を作成
その後実際にバインダーを
作成していきます

バインダー部の作成

まず、表紙・裏表紙・背表紙を担う
バインダー部分のデザインを
決めるわけですがこれが
センスの無い自分には大変な事この上ない

かわいいってなんだ(ギャバン)

とりあえず形にはなりましたが
紙の耐久性が不安です
イベント時の利用を想定しているので
ある程度は持ち運びに
耐えうる性能が欲しいです

なのでペラペラの上質紙ではなく
ある程度厚みのあるマット紙か、
水に強い合成紙のどちらかを
採用したいので紙質を選択できる
印刷所に依頼する事にしました
(今回は印刷会社グラフィック様にご協力いただきました)

組み立てイメージ図

加工した厚紙と固定具をスプレーのりや
カシメを用いて固定していきます
どちらも「カルトナージュ 部品」などで
検索するとハンドメイド通販ショップが
ヒットするので興味がある人は
その辺りのワードで調べるのが吉です

完成したバインダー部分

耐久性に関しても選択した用紙
(マットコート135kg)で
一見は問題なさそうですが、
経年劣化などの課題が生じる可能性も
あるのでまた作成する際は
思考停止で同じものを採用せず
試行錯誤する必要がありそうです

プロフィール用紙の作成

バインダー部はなんとか形になったので
プロフィール用紙本体のデザインに移行
内容を作成するにあたり
下記を留意しました

  • ある程度プライバシーを考慮した質問内容にする
    市販のプロフィール帳は
    「普段から顔を合わせる距離感の相手(家族・クラスメイトなど)」を
    ターゲットにしているため
    本名からはじまり電話番号はおろか
    住所まで記載する欄が存在します
    今回のメインターゲットは
    あくまで「オフ会で会った人達」という
    スタンスのためプライバシーを
    掘り下げる内容は避ける必要が
    あるかなと……
    (住所の欄に「幻想郷」とか原作愛感じる事書いてもらえるのも好きなんですけどね)
  • 限定的な質問を用意する
    せっかくターゲットが
    絞れているので特化した内容が
    あってもいいかなと思い
    「好きなアーティストは?」という質問ではなく
    「作品内で好きなBGMは?」のような質問にしたい

質問も決まったので
後は原稿を描き上げるだけ……
と思ったのですが
こういう印刷物のレイアウトに
対する知識が圧倒的に少なく
相当に苦戦してしまいました

どうすれば見やすくなるか、
書きやすくなるかなど
ユーザビリティを全く
考慮出来なかったので
今回一番反省している点です
何か良い参考書など
ご存知の方がいれば教えてください

完成したプロフィール用紙

そんなこんなで
プロフィール用紙も完成
申し訳程度のさとり要素として
「あなたのトラウマ経験」という項目を
設けてみましたが
面白い回答してくれた方が
たくさん居てうれしかったです

トラウマじゃ済まねえだろ
バインダーと用紙をバインディングした完成品

というわけで晴れて
「東方Projectファンのためのプロフィール帳」が
完成しました。めでたい

ドクロは売り子さんが設置してくれました

2017年春例大祭で頒布
お昼すぎ頃に無事完売しました
手にとってくれた方々、
本当にありがとうございました
頒布後買ってくれた方が
友人に書いてもらった
プロフィール用紙をツイッターに
あげてくれていたりで
とてもうれしかったです

反省点

  • バインダー部分の耐久性に関しては要検討もう少し厚みのある用紙に切り替えても良いかもしれません
  • プロフィール用紙の項目数・記入欄の大きさなどがかなりアバウトになってしまったので書きやすい大きさなどを調査する必要あり
  • 実際に印刷された用紙を見ると色合いがかなり変わっていた(時間的に余裕があるなら)印刷所に問い合わせて前もってサンプルを貰う等の工夫が必要

作成すること自体は面白かったし、
リベンジしたい箇所もあるので
またいつか頒布出来たらと思っています
(次回は東方ではなく別ジャンルのプロフィール帳かもしれませんが)

プロフィール帳文化がもっと流行るとうれしいな

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